27年ぶりの無冠

 先日の第31期竜王戦広瀬章人挑戦者が羽生善治竜王をフルセットの末4−3で破りました。このタイトル戦は羽生善治竜王のタイトル通算100期がかかっていたので大きな話題となりました。結果は広瀬章人竜王が誕生し、通算100期とはならなかったわけですが、それだけではなく羽生竜王は失冠したことにより27年間タイトル保持者で居続けたという大記録が遂に途絶えてしまったということでもありました。これによって羽生竜王は名称を改めることになりました。基本タイトルを持っていない棋士は段位を名乗るのですが、名人、竜王に限り過去には元名人、元竜王を名乗る人が居たため、どちらになるのかというのが話題になりました。結局本人の意向により九段を名乗ったのですが、羽生九段は六段以降常にタイトルを保持していたため段位を名乗る機会がなく大きな衝撃がありました。無冠になってしまった羽生九段ですが、これからタイトル通算100期を達成するには何かのタイトル戦の予選から勝ち上がり挑戦者になる必要があります。一番可能性が高いのがA級順位戦です。これは名人挑戦権を賭けて10人で戦います。総当たりで一番勝ちが多かった人が挑戦者になります。羽生九段は現在5勝1敗で2位にいるため近々行われる1位との直接対決を制すれば十分可能性があります。羽生さんは現在48歳で年齢的に全盛期のようにとはいきませんが、どうにかもう一踏ん張りして通算100期を達成してほしいと1人のファンとして思っています。

 

コンピュータ将棋のこれまでとこれから

コンピューター将棋を解説するために、これまでのコンピューター将棋とプロの戦いを簡単に解説したいと思います。

2010年、初めてコンピューターにプロが負けました。当時の対局者は女流の清水市代六段(女流王位女流王将の二冠)でした。清水市代六段とあから2010の対局は後手のあから2010が勝利しました。それから6年後の2016年、三浦弘行九段が竜王戦挑戦者決定戦3番勝負で丸山忠久九段に2勝1敗で勝利しましたが、対局中の離席が多かったので、他の棋士から不正疑惑をかけられました。結局三浦九段はシロでしたが、この事件がコンピューターはプロより強いということを明白にしました。プロより強いので プロの研究にもコンピューターは使われるようになりました。(研究とはあらかじめ相手がこうやったら自分はこうするなどと考えておくことです)研究するにあたって一番に見るものが評価値です。評価値とはその名の通り点数でその局面を評価してくれるものです。これがプラスならばその通りに指せば良いということで、マイナスならその指し方はよくないということです。これが振り飛車にとっては問題でした。コンピューターは振り飛車を指すだけでマイナス200点からマイナス400点を示すのです。一般的に-500点差がつくとコンピューター同士では絶対に勝敗がひっくり返らないと言われています。将棋の駒の歩一枚分が100点ぐらいの価値があります。 

ですので振り飛車を指すだけでかなり不利な状況から戦わなければならないのです。コンピューターが使われるようになってからはかなりの振り飛車の戦法が駆逐されました。一時は振り飛車はなくなるんじゃないかと言われた時もありました。ですがコンピューターは全能というわけではありませんでした。最初の方は 振り飛車が悪い点数を表示していても、半分ぐらいまで行くと点数が互角になる戦い方がいくつか発見されたのです。この発見によって振り飛車は今日もプロによって指されています。名前を挙げると三間飛車などがコンピューター の評価値でも互角に戦える戦法の一つです。ただ私見ですがこの三間飛車も一年ほどで指されなくなると思います。その理由は簡単でです。プロでは圧倒的に居飛車を指す人の方が多いので みんなが振り飛車の対策をしてくるからです。人が多い分研究量も多くなるので、より早く対策が作られてしまいます。逆に居飛車の対策はこうはいきません。もしかしたら近い将来振り飛車を指すプロはいなくなるかもしれません 現在プロより強い コンピューターが振り飛車はよくない戦法と言っている以上、勝つことで生計を立てていけるプロは居飛車を指すようになるでしょう。ですが私は趣味としてやっているので仮にプロでやらなくなっても指し続けると思います。

振り飛車とは何か

このブログのタイトルにもある振り飛車について解説していきたいと思います。

振り飛車とはおおまかに言うと飛車を元の筋から動かして戦うことを言います。振り飛車といっても種類があり、5筋に振ったら真ん中の筋なので中飛車、自分を先手として6筋に振ったら四間飛車、7筋に振ったら三間飛車と言い、8筋に振ると飛車と飛車が向かい合うので向飛車と言います。

何故漢数字と筋の数が違うかというと、本来振り飛車は後手の戦法だと考えられていたからです。(後手の場合四間飛車は4筋に三間飛車は3筋に振ることになる)現在振り飛車はプロの棋士に良くない戦法つまり勝ちにくい戦法と言われています。

理由はいくつかありますがここ数年その考えを加速させたものがあります。それがコンピューター将棋です。

次回は振り飛車を不利な戦法と決定づけたコンピューター将棋について解説していきます。

佐藤和俊 六段 vs三枚堂達也 六段 第4期叡王戦六段予選

第四期叡王戦六段予選から佐藤和俊六段対三枚堂達也六段戦を解説していきます。

佐藤六段は振り飛車党で順位戦はc級2組ながら竜王戦は2組でNHK杯準優勝の経験があるなど実力者です。

対する三枚堂六段は三段リーグ1期抜けの期待の若手棋士です。

それでは対局を見ていきましょう。

 

f:id:frfrkun:20181002142641p:plain

序盤のこの局面で▲6五銀と出れば部分的にはよくある仕掛けです。しかし佐藤六段の工夫を見せます。ここから▲3六歩 △2二銀▲3七桂 △3二金 ▲2六歩 △7四歩 ▲6五銀

f:id:frfrkun:20181002154714p:plain

と、桂頭の弱点を残したままの意表の仕掛け。桂馬の応援は効きますが自玉も相当薄くなります。ここから佐藤六段が金駒一枚損をして龍を成りこんだのが次図

f:id:frfrkun:20181002153429p:plain

ここからの三枚堂六段の指し回しが見事でした。

△2七歩 ▲同 玉 △2六歩▲同 玉 △5一銀!

f:id:frfrkun:20181002153434p:plain

歩の連打で玉をおびき出し、働いていなかった飛車の横効きを通す銀引きは、同龍ならば△6二角の王手飛車。駒損を駒効率で補っていた先手は為す術なく以下十数手で投了となりました。

 

 

 

このサイトについて

はじめまして!

24五段で振り飛車党のfrfrkunと申します。

このサイトでは主にプロの先生方の振り飛車棋譜を取り上げたり、研究紹介などをしていきます。

これからよろしくお願いします!